2011年3月11日の記憶Part3:原発問題について考えてみる

2011年3月11日の記憶Part2:震災時これはヤメロ!」の続き、原発問題について。

2011年3月11日の東日本大震災と原発問題がワンセットにして語られることもよくあるようなので、原発問題に関する私見を述べてみたいと思います。まあ、福島原発事故からず~っと、モヤっとしていた部分もあるので、2011年3月11日シリーズにしました。

 

私は『脱原発派』ですが「反原発」ではありません。

基本的に原発には反対です。学生の頃から「原発が安全」というのは疑問を持っていたし、それについて電力会社に質問を送ったこともあります(返信なかったけど)。そんなに原発が安全なら、電力会社本社とか首相官邸の地下に原発作れば?って考えてましたし。

福島原発は廃炉に向けて作業が進行中ですが、事故から6年たった現在でも燃料を取り出せず、周辺地区の立ち入りも禁止されたまま。最低限、東電、関係省庁、日立・東芝などのメーカーのトップの財産没収して責任を取らせ、早急な解決を計るべきです!

ちなみに、この事故は地震そのものが原因で起こったものではありません。福島原発の津波対策が不十分で津波によって予備電源が破壊されたことが原因で起きた「人災」です。現に女川原発は無事でしたし。そこは全員がきちっと理解しないといけません。

 

 

エネルギーはクリーンで再生可能なもの、できれば自然エネルギーで100%賄えるものがベストです。原発は「反応の制御が難しい」というのもあるけど、「原発の核燃料廃棄物の処理技術が確立されていない(=廃棄物が増え続ける)」のが最も問題であり、そこを考えると今の技術力では「脱原発」が望ましいと言えます。

しかし、既存の原発については、停止させておいても巨額の費用がかかるというデメリットも大きいため、「ある基準を満たして稼働させた方がベター」というスタンスです(なので反原発ではない)。

 

もうちょっと正確に言うのなら、原発推進・賛成派は技術を含む「経済面」のメリットしか語らず、反対派は原発のデメリットを憶測や「感情論」で語っているにすぎません。議論(?)が噛み合わないのは当たり前です。さらに、どちらも極論を展開したり、都合のいい事実しか持ち出さなかったりする上に、最も重要である「これからどうするの?」がなく、論理的・合理的でない。

原発問題は放射性物質による汚染だけでなく、風評被害や福島からの避難者へのいじめ問題があります。その多くはヒステリックな反対意見によって引き起こされているのではないでしょうか。そんなところも含めて、元技術屋の目から見た問題をいくつか挙げ、何故「脱原発であって反原発でないのか」をお話したいと思います。

 

 

福島原発事故は『人災』

東日本大震災時の福島原発事故ですが、直接的には津波によって引き起こされましたが、これは『人災』、防げていた事故です。

まず、システム的にはきちんと非常停止がかかって緊急時の対応が出来ていました。しかし、その後の津波によって非常用電源が破壊され、冷却できなくなった炉内が高圧になって吹っ飛び、燃料がメルトダウンした事故。

つまり原発の本質によって起きた事故ではなく、津波の対策が出来ていなかったという「人災」です。津波対策が出来ていれば防げていた事故です。その証拠に、もっと津波被害が大きかった宮城の女川原発は事故を起こしていません。

 

2011年8月の女川

これは2011年8月の女川の街並み。写真にはありませんが高さ20m?くらいの瓦礫の山が、津波の規模と被害の大きさを物語っていました。※最近の女川の街並みがSNSでアップされていましたが、すごくきれいな街並みに復興されていました。ヨカッタ^^

これほどの大津波が女川町を襲いましたが、女川原発は事故は起こしていません(もちろん地震により緊急停止)。これは東北電力で独自にデカい防潮堤を築いたりして、耐震・耐津波性をアップさせていたためです。※震災後、防潮堤はさらに3.5mかさ上げされ、現在は高さ17mになっているとか(殆ど要塞?)。

 

だから、技術的に見れば女川原発を耐震性の基準にしてしまえば、東日本大震災クラスの災害があっても大丈夫だ、と言えます(これについて反対派は無視?で、何故か賛成派も言わないのは、おそらくバカ高いコストがかかり、しかも電気料金に転嫁できないためではないかと思われる)。

ちなみに震災時、女川一帯は道路が寸断されて陸の孤島となりました。しかし専用の通信回線を使って、翌日朝には仙台市内から救援物資を満載したヘリコプターを原発に到着させ、さらに3ヵ月にわたって400名近いの被災者の避難所として使われていたそうです。

 

 

「わからない」のに、何故「危険と判断」できるのか?

ヒステリックな感情論で判断してしまうのは放射性物質の影響が分かりづらく、漠然とした(悪い)イメージで判断してしまうためではないでしょうか(これはマスコミのミスリードのたまもの)。

まず「放射能」。ゴジラが吐き出すアレ。しかし放射能とは「放射線を発する能力」のことで「放射能がまきちらされる」ことは現実には絶対にありえません。問題なのは「放射性物質が発する(有害な)放射線」であり、その量。だから「原発は放射能が・・・」とか言っていたら、それは何もわかっていない人だから気をつけてね。

 

本当にややこしいのは「放射線の単位」。ベクレルやらシーベルトやら単位がぞろぞろ出てきて、理解不能・・・という人も少なくないというか、多いと思う(うちの相方に単位の説明したら魂抜けてたし)。

ベクレルは放射線を出す物質の放射線量の単位で、シーベルトは受ける方の放射線量の単位。これだけでも???なのに、そこにマイクロとかミリとかで数字の桁が変わったり、単位時間あたりや単位目方あたりの「安全基準値」が出てきたりと、何がなんだかさっぱりわからなくなっている。

 

実はその数値だけなく、「その食品をどのくらい食べたら」、「そこにどのくらいいたなら」、などの状況から数値を割り出して危険かどうかを判断しなくてはいけない。けど、それを全くしないから「憶測だけで判断」することなってしまいます。

福島原発事故の後、いろんな数値や解説が出てきましたが、自分も???な部分も多かったため、計算してみました。

 

例として「安全基準値の10倍(1000Bq/kg)のほうれん草を毎日200g食べたらどうなるか?」について計算してみます。

ちなみに累計100mSVに達すると発癌リスクが1%上昇します。放射性物質は全てセシウム137としてこの100mSVになるまでのほうれん草の量を計算してみると。。。

 

1000Bq/kgのほうれん草200g=200Bq=0.0026mSV 累積100mSVに必要なほうれん草は7,692Kg≒7.6トン

 

大食いチャンピオンだって一気に7.6tのほうれん草を食べられませんよ。だから、このほうれん草を食べてすぐに影響が出ることは、まずないでしょう。では、少しずつ食べた時の影響はどうなるかというと・・・

7.6トンのほうれん草を消費するためには、毎日200gずつ食べても約105年かかります。1日3食200gずつ食べて35年。仮に他の食品も安全基準値を超えていて、1食あたり400Bq(1日1200Bq)摂取することになっても17年かかってでやっと発癌リスクがほんのちょっぴり上がります・・・って、これじゃ発癌に関しては他の要因の方が大きいんでないかい?

 

しかも、安全基準値は「出荷時」の測定値。放射性物質は野菜の外側に付着していて、調理する時にはたいてい洗うわけですから、実際はもっと少ない値になると考えられます。

そもそも安全基準値というのは「このくらいなら全く問題ありませんよ」という数値で、『これを超えたら危険です』という数値じゃないんです。基準値以上のものは「念のため摂取しないようにしましょうね」となるんでないかい?

ちなみに基準値の10倍でも先の計算のとおりですから、基準値を少し超えたとか超えないとかって。。。アホか?!という感じ。なので、うちでは気にしないことにしました。

 

仙台にいた頃には、結構福島産の野菜も結構出回っていたから、応援の意味も込めて積極的に選んで食べてましたよ。仮にこれで10年で発癌リスクが1%上がったとしても、発癌の要因は他にもあるんだから、そっちも気にしなければ意味ないでしょ。

基本的にこの安全基準値をどう考えるかは各々が判断すればいいけど、きちっとその数値の意味を知って判断する必要あるんでないかい? これは、ちゃんと説明(計算)して伝えていないマスゴミ(怒)に原因がある。

 

他にも数字のマジックがあります。「0.01シーベルト」と「10,000μシーベルト」は桁の単位が違うだけで量としては同じ。けど、0.01を使えば「少ない数字」に、10,000μを使えば「大きな数字」に思わせることができます。

マスコミは意図的にこういった数字を使い分け、かつその数値を説明しないから、過剰(ヒステリック)に反応しちゃう人を増やしているんだよね。

意図的、というのはマスコミは常に公正中立ではなく、原発問題はもちろんのこと、親自民、反自民、親米、反米、親中、など言わないけど基本的なスタンスがあり、政治色が強いニュースは意図的にそのスタンスに合致するような表現にして流すので、ホント注意が必要です。

以前、「福島原発の放射線量は殺人レベル」とかって記事があったけど、これが「反応炉内」なのか、「原発全体」なのか、「原発周辺」なのかで全然意味が違います。実際は「反応炉内(核燃料)」の放射線量で、確かに『核燃料の放射線量は横に行けば数秒で死ぬレベル』ですが、あたかも原発周辺全域であるかのように書いてあった覚えがある。

東電の肩を持つつもりは1ミリたりともないが、不用意に不安をあおるような表現は絶対にしてはならないと思うし、正確な「事実」だけを客観的に述べるのが報道の在り方だと思う。それが出来てないからマスゴミって言ってんだよ。それが結果的に何を生むかというと、次。

 

 

行き過ぎた感情論が風評被害といじめを生む?

先ほどの「基準値の10倍のほうれん草」だけど、次のような2つの言い方が出来ます。

A:安全基準値の10倍の放射線が検出されたほうれん草
B:1日200g毎日食べると105年で発癌リスクが1%上がるほうれん草

Aは「ヤバい」と直感的に思うかもしれませんが、Bは「ふ~ん、それじゃ別に気にしない」という人も多いんじゃないでしょうか。Aの場合「10倍の数字は危険なのかどうか」の情報がないので「10倍」というイメージ(憶測)で判断してしまうのです。

 

原発関連のニュースでは、こういった不安を煽るようなものが結構ありました。客観性のない「憶測」で、しかも『感情論』で判断すると、どんどんエスカレートしていきます。それが「風評被害」となり、福島から転校してきたというだけで起こる「いじめ」になっています。

仮に、もし害があったとしても、それは福島の人たちのせいではなく、事故を起こした東電にあるわけなんだけど、なんでそうなるわけ? で、反原発で「風評被害やいじめをヤメロ」って見たことない気がするけど・・・私の気のせい?反原発とも相容れないのはこういうところ。

 

ある福島原発関連のニュースに「今必要なのはデータと理論です。大人が理解していないことで様々な問題が起きているということから目をそらしてはいけないと思います」とありました。まさにその通りだと思います。憶測じゃなくて先の計算のようにきちっとやって判断しなさいよ、ってこと。

 

原発反対!廃炉にしたら電気料金大幅アップ?

原発は単純に「停止すればいい」ってものじゃないのがまたややこしいところです。停止しても通常運転(発電)と同じくらいの管理をしなければいけないから、停止したままでも結構カネがかかる。「発電したほうが収入になる分マシ」という説もあるくらいです。

もう一つ、原発全体の問題として「事故時の危険性リスク」はもとより、「核燃料廃棄物」の問題もある。これは無害化させる技術はないので、地下奥深くに貯蔵しておいて数百年かけて害が無くなるのを待つしかない(だからその場所でモメる)。

ドイツでも核燃料廃棄物は地下300mに貯蔵しているけど、これら廃棄物の再処理技術が確立されたら、すぐに処理して無害化させることになっているそうです。日本もこれに倣うべきかと思う。ってか、やる気あんのか、日本は?

 

 

でもって、原発反対派の言うように、全て廃炉にしたら?

まず、廃炉にすること自体にバカ高い金がかかる。もし、「原発は全て廃炉にしま~す。でも、その費用がかかるので、これから40年電気料金は10倍です」なんてことになったら、「原発は今すぐ全て廃炉にしろ!」なんていう人は全員納得すんのかね? さらに核燃料と核燃料廃棄物の保管にもカネがかかるから、ホントに原発を全て廃炉にしたら、電気料金はどうなるんだろ?(原発は全て廃炉に、というの方、ぜひこれらを試算してください)。

もうひとつ、こういうことは(廃棄物の問題も含めて)、現世のツケを後世に先送りすることになるから、絶対にしてはいけない事だと思う。それでもいい、というのは「自分たちさえよければそれでいい」って感じでゾッとする。

 

福島原発そのものの問題も含め、こういった諸問題を解決するためには、安易な「原発反対、廃炉」では無理だと思う。私としては「条件付きでの原発再稼働」がいいのではないかと思う(もちろん、なし崩し的な再稼働はダメ)。

でもって、その条件というのは、(1)東電の役員,東芝・日立などのメーカーの関係役員,関係省庁の大臣,原子力委員会のトップ,歴代首相の財産没収。(2)女川原発基準での耐震・耐津波対策。(3)原発は国営化し、福島原発廃炉と風評被害を含む全ての原発事故被害者対策を早急に進める。(4)福島原発問題が全て解決するまで、東電役員・関連大臣・原子力委員会の役員の報酬カット(部長職と同じに)。(5)早急に廃棄物処理技術を確立させる。

このくらいやれば、再稼働してもええんでね?と思うのだが、どうでしょう??? もちろん、検証は必要だけど、少なくとも感情論のやみくもな反対よりは現実味あるんじゃないかな?

でも、ホント、原発の問題は、ひとりひとりがきちんと検証して、答えを出して欲しいんだよね。ってか、大人ならそうしなければいけないと思うのだが。

 

原発って、メリットとデメリットが混在していて、デメリットの部分が解決できていないのがネックになっているんだよね。これを真に解決でき、メリットをみんなで享受することができるようになったら、本当に平和利用だけで使えるようになったら、本当に豊かな世界(地球)になると思う。そして、それが出来るようになった時、技術的にはもちろん、意識(精神)的にも人は進化するのではないだろうか。

 

本日もブログをお読み頂きありがとうございましたm(_._)m心理カウンセラー・らぶさん印

 

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